仏具の一つである「おりん」は、その音によって邪気を祓い清めるとされている。南條は、日本に数人しかいない手作業にこだわったおりん職人の一人である。おりんは一般的に真鍮で作られるが、南條の工房では高度な技術が必要な銅と錫(すず)を溶かした合金「佐波理(さはり)」を作るところから始まる。炉の火加減、溶け具合、外気温や湿度などさまざまな要素を考慮して冷ました鋳型に佐波理を流し込んで作られたおりんは非常に澄み切った音色で、まっすぐ安定した音の余韻を奏でる。それぞれ調律されたおりんは、ほかの楽器とアンサンブルもできる。仏事の枠を超え、多くの人々にその美しさを伝えると同時に、190年の歴史を持つ家業を後世へと発展させ、芸術や音楽の世界、そして、シンプルで深みのある音を通じて心の健康を促す新しい製品を提供している。おりんという金属工芸と市場の両方を再活性化させることで、南條は日本の伝統的なおりんの潜在的な素晴らしさを、次世代のユーザーと作り手の両方に示したいと願っている。
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